BtoB広告運用の一環として、コンテンツマーケティングに挑戦する方は珍しくありません。上質なコンテンツはリード(見込み客)を呼び、自社の認知度を上げ、ビジネスを成功に導いてくれる存在です。
しかし、やみくもにコンテンツを作り続けても、成功にはつながりません。今回は、BtoB分野のコンテンツマーケティングで顧客にアプローチする要素を解説します。
コンテンツマーケティングの基本
まずコンテンツマーケティングの基本として、ユーザーにとって有益な情報を提供するのが最低条件です。価値のあるコンテンツは、見込み顧客に対して有用な知識を提供し、課題の解決を支援することで信用を獲得します。とくにBtoBにおいてはBtoCより競争率が高いといわれるため、コンテンツを通して自社がその道のエキスパートであることをアピールできなければなりません。
そのためコンテンツマーケティングにおいては、ターゲティングや手法の方針を固める「戦略」が必要不可欠です。
BtoBのコンテンツマーケティングで求められる要素
BtoBのコンテンツマーケティングを成功させるためには、以下の要素が重要です。
・的確なターゲティング
・戦略に基づいた施策の組み立て
・ユーザーが起こすアクションの把握
いずれもマーケティング界隈でよく指摘される要素ですが、実践すると難しく感じるものです。そのため各要素を定義するうえで、確立されたフレームワークを用いるのが重要です。
的確なターゲティング
ターゲティングは、コンテンツの方向性を固める重要な要素です。BtoBはターゲットがビジネスパーソンに絞り込まれていますが、ある程度解像度を上げて設定しないと、ありきたりで誰にも刺さらないコンテンツができあがってしまいます。それでもリードを獲得する可能性はゼロではありませんが、効率は低いといわざるをえません。
ターゲットの解像度を上げるには「ペルソナ」というフレームワークを用いるのが定石です。しかしペルソナよりも先にターゲットの大枠を正確に捉えていないと、あさっての方向に解像度を上げてしまう可能性があります。そのため3C分析や6Rといった重要成功要因を絞り込むフレームワークを用いて、ターゲットの大枠を定めることが重要です。
戦略に基づいた施策の組み立て
コンテンツマーケティングでは、事前に戦略を組み立てたうえで、そこを軸にしてコンテンツを展開しなければなりません。とくにコンテンツ制作を外部に委託する場合、共有すべき目的や施策内容を定義しておく必要があります。
施策の立案においても、フレームワークの活用が効果的です。手法は多数ありますが、以下のフレームワークが代表的といえるでしょう。
4C分析 | 「顧客価値・顧客の費用・顧客の利便性・顧客対話」の4つの視点から、情報を収集、分析する。ユーザー目線の把握に役立つ。 |
キーワードマトリクス | 設定ターゲットに合致したキーワードの優先順位を決めるフレームワーク。 |
MECE(ミーシー) | 思考整理のフレームワーク。物事や事象の「漏れ」や「ダブり」を可視化する。 |
コンテンツマップ | 自社コンテンツの全体像を可視化するフレームワーク。コンテンツの重複を防止してムダなコストを省くのに役立つ。 |
コンテンツマーケティングで起こりやすいのが「ネタ枯れ」です。初期段階では充分なネタがあっても、途中でネタ切れを起こして更新が止まったり、有効性の低いコンテンツを量産したりすることがあります。そのような事態を防ぐためにも、フレームワークを用いてアイデアの抽出と整理を効率よく行いましょう。
ユーザーが起こすアクションの把握
どれだけ上質なコンテンツを制作しても、アクセスしてもらわなければ効果を発揮しません。そのためターゲットがどのようにしてアクセスに至るか、具体的な行動を理解する必要があります。
このとき有効なフレームワークが「カスタマージャーニー」です。これはターゲットが動機〜購入までに起こすであろうアクションを「旅」に例えて、購買行動の把握とアプローチすべきポイントを捉えるフレームワークです。
ユーザーがウェブサイトを訪問する際の行動は、各ページでの滞在時間、PV数の多いコンテンツといったデータを分析することで明確化できます。
適切なKPIの設定
現実的なKPI(重要業績評価指標)の設定は、マーケティング戦略の成否を評価する重要な要素です。例えば過度に高い目標を設定してしまうと達成が困難で、モチベーションの低下やリソースの無駄遣いにつながる可能性があります。
そのため無理のない現実的なKPIを設定し、定期的に見直しを行うことが重要です。このとき有効なフレームワークは、以下の2つです。
KPIツリー | 最終目標を起点に、細分化した目標をツリー状に表すフレームワーク。KPIの関係性と改善点の可視化に役立つ。 |
SMARTの法則 | 「具体性・測定可能・達成可能性・関連性・期限」の5つの要素から目標を設定するフレームワーク。 |
KPIは初期の設定を一貫するのではなく、定期的に見直しを図る必要があります。
BtoBにおける主要なコンテンツ
BtoB分野で効果的にコンテンツマーケティングを行うためには、各チャネルの特性を理解していなければなりません。こちらでは、主要なコンテンツのチャネルについて解説します。
メールマガジン
メールマガジンは、選定したターゲットや自社サイトへアクセスしたユーザーに対して、定期的に配信するタイプのコンテンツです。見込み客をコンバージョンに導く「リードナーチャリング」や、リピーターの獲得が期待できます。
また、秘匿性が高い分、パーソナライズされた情報の提供が可能です。ただし迷惑メールと認識されたり、読まれずに終わったりするケースも珍しくありません。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、自社の調査資料や研究レポートといった独自情報を提供する手段です。専門性の高さをアピールできるため、BtoBのターゲットに刺さりやすい特性があります。一般的に自社サイトのお知らせページにて通知し、PDFでダウンロードできるようにしておくのが一般的です。
Webコンテンツ
Webコンテンツは、自社のオウンドメディアやブログで発信する「お役立ち情報」のことです。基本的にはコンテンツのアクセスが増えるよう、検索結果の上位獲得(SEO)を目指します。
コンテンツのなかでも比較的容易に作成できる部類ですが、それだけ競合の数も少なくありません。成功には、コンテンツの質はもちろん、サイトデザインの改善や動線の見直しなど、自社サイトを最適化する施策も求められます。
SNS
SNSは数年前までBtoCに向いたチャネルでしたが、最近はBtoB用のコンテンツチャネルとして活用されるケースが増えてきています。とくにFacebookやX(旧Twitter)はビジネスパーソンの利用者数が多いといわれ、自社の公式アカウントを作成して情報発信するところも珍しくありません。
SNSは利用ユーザー数が多く、各チャネルで広告機能も備わっています。ダイレクトメールやメッセージの機能でコミュニケーションも取れるため、積極的に活用したいチャネルです。
コンテンツマーケティングを成功させるコツ
BtoB分野は競争が激しい分、クオリティの高いコンテンツとアクセスにつなげる外部対策が欠かせません。コンテンツマーケティングで効率よくコンバージョンを獲得するには、以下の点を意識しましょう。
長期的な運用を前提として進める
コンテンツマーケティングは短期的な取り組みではなく、長期的な視点で運用することが重要です。コンテンツの効果は即座に現れないことが多いため、PDCAサイクルを回しながら、評価と改善を実施しなければなりません。KPIの結果を参考に、改善点を模索し続けましょう。
フレームワークを積極的に活用する
ペルソナやカスタマージャーニーといったマーケティングフレームワークは、コンテンツマーケティングの戦略策定や思考整理に有効です。とくにBtoBではターゲットのニーズや行動の把握は必須なため、精度の高さが求められます。
全体設計を行う
施策は基本的にチームで行うため、共通認識を得るための設計図が重要な役割を担います。ターゲットやKPI、使用するチャネルやコンテンツマップなど、全体像を明確にすることで、一貫性のあるマーケティングが可能です。また施策の内容やKPIは定期的に改善が必要なため、全体像を可視化しておくことで改善点の洗い出しを効率よく行えます。
複数の媒体を検討する
コンテンツマーケティングを行う際、単一の媒体やコンテンツ形式にこだわらないことが重要です。用途や目的に応じて最適な媒体を選定し、複数の手法を組み合わせましょう。アクセス経路が多いほど、広い層にリーチできます。
まとめ
BtoBのコンテンツマーケティングに取り組むには、精度の高いターゲティングや戦略に基づいた施策の構築、ユーザー行動の理解や適切なKPI設定が欠かせません。多くの要素を求められるため、フレームワークの積極的な活用が成否のカギを握るといってよいでし