Webサイトを運営していると、ユーザーが「どのリンクをクリックしているのか」を知ることは非常に重要です。
例えば以下のようなシーンで役立ちます。
- 購入ボタンのクリック率を知りたい
- 外部サイトへの送客リンクがどれくらいクリックされているか把握したい
- お問い合わせフォームに遷移するリンクの効果を測定したい
こうした計測は Googleタグマネージャー(GTM: Google Tag Manager) を使うことで、簡単かつ柔軟に設定可能です。この記事では、GTMリンククリック計測」について、初心者でも分かるように手順・応用・注意点まで徹底解説します。
GTMとは?
GTMの役割
Googleタグマネージャーは、Webサイトに設置する「タグ」を一元管理できる無料ツールです。
通常、Googleアナリティクスや広告計測のためには都度コードを埋め込む必要がありますが、GTMを使えば 管理画面から設定するだけで反映 できるのが大きなメリットです。
リンククリック計測におけるGTMの利点
- コード編集なしで設定できる
- 特定のリンクのみ計測できる(例:外部リンクだけ)
- イベントとしてGA4や広告に送信可能
- サイト改善や広告効果測定にすぐ活かせる
リンククリック計測の基本
クリックイベントの仕組み
Web上の「クリック」はJavaScriptのイベントとして認識されます。
GTMはこのクリックイベントを検知し、トリガーを発火させ、タグを実行する流れになります。
基本の流れは以下の通りです。
- ユーザーがリンクをクリック
- GTMがクリックイベントを検知
- 条件(トリガー)に一致すると発火
- GA4や広告にイベント送信
GTMでリンククリック計測を設定する手順
手順① 変数を有効化
まずはクリック計測に必要な変数を有効化します。
- GTM管理画面で「変数」を開く
- 「組み込み変数」から以下を有効化
- クリックURL
- クリックテキスト
- クリック要素
- クリックURL


これでクリックイベント時に詳細データが取得できます。
手順② トリガーを作成
次に「どんなクリックを計測するか」を決めます。
例1:全てのリンククリック
- トリガータイプ:「リンクのみ」
- 条件:すべてのリンククリック
例2:外部リンクのみ
- トリガータイプ:「リンクのみ」
- 条件:クリックURL → 含まない → 自社ドメイン
例3:特定ボタンだけ
- トリガータイプ:「リンクのみ」
- 条件:クリックテキスト =「お問い合わせ」

手順③ タグを作成
計測したクリックデータをGA4に送信する場合は、GA4イベントタグを設定します。
- タグの種類:「GA4イベント」
- 設定タグ:既存のGA4設定を選択
- イベント名:link_click など任意
- パラメータ設定:
- link_url → {{Click URL}}
- link_text → {{Click Text}}
- link_url → {{Click URL}}

手順④ プレビューと公開
- 「プレビュー」でテスト環境に接続
- 該当リンクをクリックしてイベントが発火するか確認
- GA4のリアルタイムレポートでイベントが反映されているかチェック
- 問題なければ公開
GTMリンククリック計測の応用テクニック
外部リンク計測
自社サイトから離脱してしまう「外部リンククリック」を把握することで、どのサイトにユーザーが流れているかを把握できます。
アフィリエイトや外部サービス誘導では必須の計測です。
ボタン計測
CTA(Call To Action)ボタンのクリック率を計測し、どの文言や配置が効果的かABテストできます。
ファイルダウンロード計測
PDFやカタログのダウンロードリンクもクリックイベントで把握可能。
「資料請求」などのKPIに活用できます。
GTMでリンククリックを計測する際の注意点
ダブルカウントに注意
全てのクリックを対象にしていると、同じクリックが複数のイベントに送られてしまうことがあります。
条件を絞って設定するのがベストです。
SPA(シングルページアプリ)の場合
画面遷移がないサイト(ReactやVueで構築されたもの)では、クリックイベントが正しく動作しないケースがあります。
その場合は カスタムイベント を開発側に実装してもらう必要があります。
コンバージョン計測との連動
広告媒体(Google広告やMeta広告)と連動する場合、GA4を経由せずに直接イベントを送信するケースもあります。
GTMでは柔軟に切り替えが可能です。

GA4での確認方法
リアルタイムレポート
イベント送信後すぐに確認できるのはリアルタイムレポートです。
link_click イベントが表示されれば成功です。
イベントレポート
1~2日後には「イベント」一覧に反映されます。
クリック先URLやリンクテキストをパラメータとして活用することで、詳細な分析が可能です。
よくある質問(FAQ)
Q1. ボタンにリンクがない場合はどうする?
A. <button>タグを使ったCTAは「リンククリック」ではなく「通常のクリック」として扱われます。その場合は「すべての要素のクリック」をトリガーに設定しましょう。
Q2. 計測できないケースはある?
A. ページ遷移が瞬時に行われると、タグが発火する前に離脱する場合があります。「タグ配信を待機」を有効化することで改善できます。
Q3. イベント名は自由に付けていい?
A. 可能ですが、GA4の推奨イベント名(例:click や file_download)を使うと自動レポートで活用しやすくなります。
Q4. 外部リンクと内部リンクを分けて計測したい
A. トリガーの条件で「クリックURLに自社ドメインを含む/含まない」を設定すれば分けられます。
まとめ
- GTMを使えばコード編集なしでリンククリック計測が可能
- クリックURL・クリックテキストを変数として活用できる
- GA4や広告媒体へのイベント送信に活かせる
- 外部リンク、ボタン、ダウンロードなど応用シーンは多い
- 設定後は必ずプレビューで確認し、ダブルカウントに注意する
リンククリック計測は「ユーザー行動の可視化」に直結します。
サイト改善・広告最適化の基盤となるため、ぜひ正しく実装してデータ活用を進めましょう。



