GTM(Google Tag Manager)は、ウェブサイトやアプリケーションのタグ管理を簡素化するツールです。中でも「変数」を使うことで、トリガーやタグを柔軟に制御できます。この記事では、GTMにおける「組み込み変数」と「ユーザー定義変数」の種類や設定方法、活用法について解説します。
GTMの変数の種類2つ
GTMは、ウェブサイトやアプリケーションのタグ管理を効率化する強力なツールです。タグの管理を簡単に行えるだけでなく、特定の条件下でイベントを計測するために「変数」を活用することが可能です。GTMで使用する変数は大きく2つに分類されます。組み込み変数とユーザー定義変数です。
組み込み変数
組み込み変数は、GTMにあらかじめ用意されている変数で、一般的な計測シナリオに対応しています。これらは設定を有効化するだけで使用でき、簡単にタグやトリガーと連携させることができます。例えば、「クリック」や「ページURL」などの情報を取得することが可能で、特定の条件に基づいてタグを発火させたり、データを取得したりする際に便利です。

組み込み変数の代表例
- クリック要素:クリックされた要素の詳細を取得
- ページURL:現在表示されているページのURLを取得
- リファラ:ユーザーがどのサイトからアクセスしてきたかを取得
これらの変数を利用することで、追加のカスタマイズなしに、簡単にタグの発火条件を設定できます。
ユーザー定義変数
ユーザー定義変数は、組み込み変数ではカバーできない特定の条件や要件に基づいて、自由に設定できる変数です。ユーザーが必要なデータを計測できるよう、独自に定義することで、より高度なタグ管理やカスタムトリガーの設定が可能になります。たとえば、フォームの特定フィールドの値を取得したり、カスタムJavaScriptを用いて複雑なロジックを設定することができます。

ユーザー定義変数の代表例
- カスタムJavaScript変数:独自のJavaScriptコードを実行し、その結果を変数として取得
- データレイヤー変数:サイト内で設定されているデータレイヤーから値を取得
これにより、サイトやアプリケーションの動作に応じた詳細なデータを取得することが可能となり、精密なトラッキングが可能になります。
GTM変数の設定方法【組み込み変数】
次に、組み込み変数の具体的な設定方法について解説します。GTMのデフォルトで用意されている組み込み変数は、初期状態ではすべてが有効になっていません。そのため、計測する内容に応じて適切な変数を有効にする必要があります。
計測内容に合わせて変数を有効化
GTMでは、組み込み変数を管理画面で簡単に有効化できます。手順は以下の通りです。
1.GTMにログインし、対象のコンテナを選択。
2.「変数」タブをクリックし、「組み込み変数」を選択。

3.計測したい変数をチェックボックスで選択して有効化。
4.「保存」ボタンをクリックして変更を適用。
これだけで、選択した変数を利用してタグの発火やトリガーの設定ができるようになります。例えば、ページのURLに基づいて特定のタグを発火させたい場合、組み込み変数「Page URL」を有効にしておくと、トリガーにこの変数を組み込んで動作させることが可能です。
組み込み変数を使用したトリガーの設定
次に、組み込み変数を使用したトリガーの設定方法を見ていきます。例えば、特定のページに訪れたときにタグを発火させる場合、組み込み変数「Page URL」を利用したトリガーを設定します。
1.トリガー作成画面に移動。
2.「新規」ボタンをクリックして、トリガーの種類を「ページビュー」や「クリック」などから選択。

3.「発火条件」を設定する際に、「変数」を使用して条件を指定。
- 例:Page URL が「https://adaptique.jp/contact-thanks/」に等しい場合にタグを発火。

4.設定内容を確認して保存。
このように、組み込み変数をトリガーに組み込むことで、細かな条件に応じてタグを発火させることが可能です。

GTM変数の使い方・設定方法【ユーザー定義変数の場合】
次に、ユーザー定義変数を利用した設定方法について説明します。ユーザー定義変数は、特定のニーズに合わせて柔軟に設定できるため、より高度なトラッキングを実現できます。
ユーザー定義変数を新規で作成
ユーザー定義変数は以下の手順で新規作成できます。
1.GTMの変数タブに移動。
2.「新規」ボタンをクリック。

3.変数の種類を選択。例えば、「カスタムJavaScript」や「データレイヤー変数」などから選択可能。

4.必要なコードや設定を入力し、変数名を指定して保存。
例えば、特定のフォームフィールドの値を取得したい場合、データレイヤー変数を作成し、該当フィールドの値を変数として設定できます。
作成したユーザー定義変数をトリガーに設定
作成したユーザー定義変数をトリガーに組み込むには、先ほどの組み込み変数の場合と同様の手順でトリガーを作成し、変数を条件に指定します。

例えば、ユーザーが特定のボタンをクリックしたときにタグを発火させたい場合、ユーザー定義変数を使用してクリックイベントを取得し、該当条件に合致した際に発火させる設定が可能です。

こうした設定により、ページ上の特定アクションや、動的に生成されるコンテンツをトラッキングすることができます。
まとめ
GTMでは、組み込み変数とユーザー定義変数の2種類の変数を使って、様々な条件に基づいたタグ発火やトラッキングを行うことができます。組み込み変数は、基本的なトラッキング要件を満たすために便利で、簡単に設定・有効化できます。一方、ユーザー定義変数は、カスタマイズ性が高く、特定のニーズに応じたトラッキングを実現するために役立ちます。
GTMを効果的に活用するためには、これらの変数の使い方を理解し、計測の目的に応じて適切に設定することが重要です。また、トリガーに変数を組み込むことで、より細かな条件に基づいたタグの管理が可能になります。
