リード獲得広告とは、自社の商品やサービスに関心がある見込み客(リード)の情報を獲得する機能です。国内ではFacebook(meta)広告の機能として有名ですが、InstagramやTiktokといったほかの媒体でも利用できます。近年は、BtoCだけでなくBtoBの分野でSNSが積極的に活用されており、SNS運用は法人相手の宣伝でも主流になってきました。今回は、リード獲得広告のSNS媒体や主な役割、運用のポイントを解説します。
リード獲得広告とは
リード獲得広告とは、ターゲットの電話番号やメールアドレス、SNSアカウントといった情報を獲得するために打ち出す広告のことです。媒体の広告プラットフォームで配信が可能で、自社のランディングページを経由せずに見込み客の情報を獲得できます。
通常、Web広告で個人の情報を獲得するには、Webアンケートや問い合わせページといった入力フォームが必要です。しかし、問い合わせフォームは入力項目が多いため、自社ページから離脱される数も少なくありません。一般的に、問い合わせフォームの離脱率は40%〜50%ともいわれているそうです。
一方でリード獲得広告は、簡易的な問い合わせフォームが媒体で用意されています。ターゲットはアカウント情報が入力済みの状態で入力フォームに移行でき、ランディングページを経由する必要もありません。
最小限の工程で入力項目が少ないため、エンゲージメント(フォームへの入力)につながりやすいというメリットがあります。見込み客の獲得においては、自社の問い合わせページよりリード獲得広告のほうが母数形成に効果的といえます。

リード獲得広告を利用できるメディア媒体
リード獲得広告を配信できるメディア媒体やプラットフォームは、主に以下が挙げられます。
・Facebook(meta)(Instagramも同様のプラットフォームで配信可能)
・Tiktok
上記の媒体でどのような特徴があるのか、見てみましょう。
Google広告には「リードフォーム表示オプション」という機能が搭載されており、検索フォーム・YouTube・GmailといったGoogleサービス上の広告から、直接リードを獲得できます。
リードフォーム表示オプションを利用するメリットは、主に以下が挙げられます。
メリット | ・携帯端末だけでなくパソコンにも対応している・検索連動型広告にも配信可能・顕在層へ効果的にリーチできる・ユーザー数が多い |
デメリット | ・任意回答が設定できない・検索連動型はクリック単価のため広告費用がかかりやすい・動画形式はAndroid端末のみ対応 |
Googleのリードフォーム表示オプションはパソコンにも対応しているため、BtoB分野のリード獲得に効果的です。BtoB広告運用では「母数形成」に課題を抱えやすいため、Googleは問い合わせ数を確保するうえで有効なプラットフォームといえるでしょう。
Facebook(meta)
Facebook(meta)や系列SNSであるInstagramでは、リード獲得広告を利用してターゲットへ効率的にリーチできます。Meta社の広告マネージャから簡単に配信できるため、広告運用の専門知識がなくても配信を開始可能です。
Facebook(meta)のリード獲得広告を利用するメリットは、主に以下が挙げられます。
メリット | ・獲得する情報の信頼性が高い・ターゲットのプロフィール情報が自動で反映される・CRM(顧客情報の一元管理ツール)と連携できる・「オーディエンス」の機能により詳細なターゲット設定ができる |
デメリット | ・配信できるのはモバイル端末のみ・ランディングページに遷移できない |
Facebook(meta)の魅力は、アカウントが実名登録制なところです。匿名アカウントの心配が少ないため、獲得した情報には高い信頼性があります。
LinkedInとは、ビジネス業界に特化したSNSです。国内では転職者向けの媒体として有名ですが、世界的にはビジネスコミュニケーションのインフラとして活用されていますLinkedInにはBtoB商材のリード獲得フォームがあるため、ビジネスマンや企業アカウントからのリーチが期待できるでしょう。
LinkedInのリード獲得広告を利用するメリットは、主に以下が挙げられます。
メリット | ・携帯端末だけでなくパソコンにも対応している・「リード収集フォーム」の機能で簡単にリードのデータをダウンロードできる・社名や部署名といった会社情報を獲得できる・設問内容をカスタマイズできる |
デメリット | ・BtoCには向かない・リードデータのダウンロードには管理者と閲覧ユーザー以上のロールが必要 |
LinkedInは全世界で10億人以上のビジネスマンが利用しているともいわれます。国内だけでなくビジネスをグローバル展開したいときの広告としても有用でしょう。
TikTok
TikTokは、若年層を中心に高い人気を誇るSNSです。近年はユーザーの平均年齢が上昇傾向にあるといわれ、BtoCだけでなくBtoB向けの広告媒体としても注目されています。
TikTokのリード獲得広告を利用するメリットとデメリットは、主に以下の通りです。
メリット | ・ショート動画で訴求力の高い宣伝ができる・メッセージデザインをカスタマイズできる・ツールの専門知識がなくても簡単に広告を設定できる・リード獲得をアプリケーション内で完結できる |
デメリット | ・リードデータをダウンロードできるのは90日間・配信先はインフィード広告(おすすめ欄)のみ |
TikTokの魅力は、画像や動画で宣伝できるところです。動画編集やデザインスキルが求められるため、自社に専門家がいない場合は広告代理店へ委託するのをおすすめします。

見込み客獲得におけるリード獲得広告の役割
リードの獲得、つまり商材に対して高い興味・関心につなげるには、「リードジェネレーション・リードナーチャリング・リードクオリフィケーション・リードリサイクル」の4つの段階があります。
この内、リード獲得広告・リードフォーム表示オプションといった機能が担うのは、「リードジェネレーション」「リードリサイクル」です。
各プロセスの主な役割を、以下の表にまとめました。
リードジェネレーション | リードまたはリードの情報を集める段階。マーケティング施策における母数形成を担う。 |
リードナーチャリング | 獲得したリードに有益な情報やイベント案内を提供し、興味・関心を引き上げる段階。リードの育成を担う。 |
リードクオリフィケーション | 商材に対する興味や関心が高いリードを選定し、直接アプローチする段階。アプローチするかどうかの意思決定を担う。 |
リードリサイクル | 一度離れたリードへアプローチする段階。取りこぼしの防止を担う。 |
リード獲得広告は、あくまで最初のハードルを超えるための施策に過ぎません。入力フォームから最終的な購買や契約につなげるには、各段階に応じて適切なアプローチを行う必要があります。
また、リード獲得広告で母数形成が頭打ちになった場合は、広告内容を変えてリードリサイクルとして休眠顧客の掘り起こしに使う方法もあります。
リード獲得広告で効果的に運用するコツ
ここからは、リード獲得広告で効率的にアクションを起こしてもらうためのコツを紹介します。
1ページに情報を厳選・集約する
ランディングページなら情報量で勝負できますが、リード獲得広告の場合は記載できる情報量が大幅に制約されます。少ないスペースに魅力を詰め込む必要があるため、効果的なUSP(自社の強みや魅力をまとめたもの)やキャッチコピーが求められます。また、画像や動画の形式なら見やすさとデザインにこだわらなければなりません。
どちらも専門スキルが求められる領域のため、難しい場合はコピーライター・デザイナー・広告代理店といったプロに依頼しましょう。
コンバージョンのハードルを下げる
リード獲得広告でリードの獲得がうまくいかない場合、コンバージョンのハードルを上げすぎている可能性があります。リード獲得広告の主な役割は母数形成のため、ホワイトペーパーのダウンロードや無料セミナーの案内など、心理的ハードルの低いコンバージョンが効果的です。
リード獲得広告の運用では、商材に応じて無理のないコンバージョンを設定し、リードの母数形成を促しましょう。
リーチする条件を絞り込む
広告配信のプラットフォームでは、ターゲットの条件を絞り込む機能が備わっています。また、広告の運用結果を数字で確認・分析できるため、配信を続けながら常に広告内容の最適化を図りましょう。
ターゲットが興味を持つ要素の抽出や効果があった配信内容の分析を行うことで、リードにつながる条件をより詳細に絞り込めます。
数と質のどちらかを重視する
広告の配信では、事業の規模やフェーズに応じて、数と質のどちらかに注力するのを推奨します。例えば、事業がスタートアップなら自社データが不足しているため、エビデンスを集める意味でも数を追求したほうがよいでしょう。
一方で既にリードを安定供給できているなら、質を重視して成約率を上げることで、リードにかかるムダなコストを削減できます。
プラットフォームの機能を利用する
プラットフォームを利用した広告運用では、備わっている機能を有効活用しましょう。例えば、Facebook(meta)なら「オーディエンス」という機能でターゲットを詳細に条件付けして絞り込めます。本格的な運用ではマーケティングや分析ツールの知識が必要ですが、基礎的な運用なら専門家がいなくても簡単に運用可能です。
まとめ
リード獲得広告には、ユーザーのフォーム入力に対する心理的ハードルを下げ、母数形成につなげる効果があります。ただし、キャッチコピー・広告のクオリティー・コンバージョンの設定によっても効果は左右されるため、結果がでるまで効果測定と改善を繰り返し、施策内容をブラッシュアップし続けなければなりません。効率的に運用を行うなら、信頼できる広告代理店に依頼するのをおすすめします。